シャンリーさんへのインタビュー(後半)
AMV-JAPANでは2021年、大体月1回程度でDiscordを使用したVoiceChat会を行っていました。
毎回ゲストを迎えてゲストに関連するお話しを聞く内容です。
10回目(2021/09/18)は、静止画界隈からシャンリーさんをお迎えしました。
以下、前半の記事の続きです。
デザインの勉強法
じょん:
非常に高いデザインセンスを持っている方だなぁってMADを見てて思うんですけど、デザインの勉強はどのようにされてるんですか?
シャンリーさん:
2020年11月から「#ゆるでざ」っていうハッシュタグを使ってツイートしてるんですけど、他の人のデザインを参考にした静止画だったり何秒かの映像を作って体で覚えるようにしてますね。
#ゆるでざ
今日から人のMADのデザインをガチぱくりーぬして、お勉強していこうと思います
リファレンス:【MAD】Pastel Last Lily【小百合さんの妹は天使】https://t.co/dt4GQ3szjqpic.twitter.com/LPsMy7GVnN— シャンリー (@shangli_1053) November 13, 2020
大麦さん:
それ以前はそういう実践での勉強はしてなかったんですか?
シャンリーさん:
そうですね。本格的にデザインを勉強しようって意識し始めたのがその頃からなので。
大麦さん:
何かきっかけとかあるんですか?
シャンリーさん:
三ツ星カラーズのMADの後あたりで、「下手だなぁ俺、これじゃ駄目だ」ってふと思い立って、勢いで実行しましたね。
上を見上げれば切りがないんですけど、でもこれじゃあまりにも差がありすぎるな、少しでもいいから追いつきたいなって思って。
大麦さん:
偉すぎる。
シャンリーさん:
好きでやってる事なので、趣味ですねこれも。
大麦さん:
楽しくやれればいいですよね。
シャンリーさん:
はい。引き出し増えていくのは手動かしながら分かるので。
あと、「こんな凄い事やってたんだなぁこの人。」とかより深く知れるので、視点が変わるというか世界が広がっていって、これはこれで面白いなぁってやりながら思ってます。
大麦さん:
ありますよね。意外と難しい事やってたんだって気付いてリスペクトが生まれるみたいな。
シャンリーさん:
そうなんですよね。簡単に見えたのにこんな事してたんだとか。
最近だと、ゆっぴさんの動画を見て練習したんですけど、やっぱゆっぴさん凄いなと思って。
大麦さん:
ゆっぴさん、えぐいね。
シャンリーさん:
シーンとシーンが全部1本の線で繋がってて、メリハリもついてますし、見てて楽しい。本当に凄いなって。
大麦さん:
シャンリーさん、ゆっぴさんの影響を受けてる気がするんです。特にイーズのかけ方とか。
シャンリーさん:
僕、ゆっぴさんのゆるゆりMADを狂ったように見てて。イージングはゆっぴさんの影響をもろに受けてますね。
(作者:ゆっぴさん)
じょん:
ゆっぴさんのMADがきっかけでゆるゆりを見始めたんですよね。
シャンリーさん:
そうです。あれ無かったら僕見てないですゆるゆり。
特に影響を受けたMAD作者
じょん:
MADを作る上で特に影響を受けたMAD作者さんっていらっしゃいますか?
シャンリーさん:
ゆっぴさんと大麦さんの影響が大きいと思います。
純粋にこういう映像作りたいなって心の底から思ったのがゆっぴさんと大麦さんでしたね。でも全然追いつける気がしないですね(笑)
大麦さん:
以前、僕がデレマスで『MOTHERLAND』っていうMADを作ったんですけど、千里山さんがそれをリスペクトした映像を作ってくれた時があって。
シャンリーさんの件もそうですけど、そういう、自分が作った映像で何か伝わってるんだなっていうのが凄い嬉しいですね。
シャンリーさんのゆるゆりMADみたいな、妄想系のMADがたくさん増えてくれると嬉しいです(笑)
1番好きなシャンリーさんのMAD
–ゲストの皆さんに、1番好きなシャンリーさんのMADを挙げていただきました。
babanさん:
私は思い出補正でアクタージュです。ここでシャンリーさんっていう存在が、ガッと頭に入った印象が強いので。
特に「一番の幸いだから」っていう文字でサビが始まる所が良くて。
静止画M@D大賞でも票を入れましたし、これですね。
mizugorou_753さん:
一番好きな動画は『【シャドーハウス】煤けた生き人形【MAD】』です。
原作は知らないんですけど個人的にビビットな映像が大好きでこの動画が一番僕のお気に入りです。
まさか!さん:
自分は、常に最新作が最高傑作だと思ってます!
そのほかでエピソード込みで「印象に残る」って話をするとダイヤのAですかね。
(2019年5月投稿。AniCup2019・第7回ANIMAAAD祭参加作)
さんちぇさん:
ダイヤのAのMADは、自分の考えとか感じた事を表現しようっていうのが伝わって、凄い印象に残ってます。
まさか!さん:
その後の動向を見ていると、やっぱり動画主体で表現できることとしては一つの到達点だったのかなと思いました。
シャンリーさん:
なるほど。到達点っていわれてみるとそうなのかもしれないです。確かに構成はかなり上手くいったなぁっていうのは自分でも記憶ありますね。
こばやしさん:
私は「忘却バッテリー」ですね。なんですけど、今回更新されそうなんですよね、「葬送のフリーレン」のMADが良すぎて(笑)
なのでこの2つですね。
忘却バッテリーの方は、背番号も貰えずにベンチすら入れない3年間を送る、名前も無いキャラクターのMADになってて。これが凄い胸にくるんです。
シャンリーさん:
そうですね。このMADで扱ってるのは原作の1話分だけなんですよね。この話はかなり胸にずっしりきたので、是非忘却バッテリー読んでほしいです。
(2020年5月投稿)
さんちぇさん:
私は、ダイヤのA・忘却バッテリー・アクタージュのMADが好きなんですけど、今回の「葬送のフリーレン」のMADの前半部分、皆さんが「絵本みたい」って仰ってる所(0:31~1:00)。あそこが、普段目にする静止画MADとは違う表現に感じて凄い好きです。アニメ化したらエンディングでもいいんじゃないかってぐらい。
大麦さん:
僕は『Bon appetit』ですね。
まずゆるゆりと椎名林檎を合わせようっていう発想でグッと引き付けられましたし、ゆるゆりのMADを何作か作られてますけど、その集大成的な印象を受けましたね。
(2021年3月投稿。杉浦綾乃が、チョコプリンを作って歳納京子にプレゼントするというifストーリーMAD)
じょん:
確かMADを作るにあたって、実際にご自身でチョコプリン作りを体験してみたんですよね。
シャンリーさん:
そうですね。それが実際活きたのか分からないですけど、活きてると信じたいです。
美味しそうではあるが、これプリンか…?
これから冷やすから変化があるかもしれない pic.twitter.com/I7wJfjxBq2— シャンリー (@shangli_1053) February 20, 2021
大麦さん:
そのプロセスが大事ですよね。
シャンリーさん:
そうですね。過程を経て無意識の内にでも構成とか変化があったのかなぁとは思うんです。作ったチョコプリンのレシピを映像に落とし込んでるので。
正直、最初このMADを作ろうと思った時は挫折するかなと思ったんですけど、実際にチョコプリンを作ったおかげか、意外といけるなってなってそのまま突っ走っていきましたね。
大麦さん:
チョコプリンを食べさせ合うシーンでパーティクルが交じり合う所(1:40~1:46)が、めちゃくちゃ盛り上がるなぁこの演出良いなぁって思いました。
シャンリーさん:
ありがたいです。
じょん:
ゲストの皆さんの好きなMADを挙げていただきましたが、シャンリーさんは、今まで作った自身のMADで一番思い入れのある動画を挙げるとしたらどれを選びますか?
シャンリーさん:
難しいですね。悩ましいですけど、『Bon appetit』ですかね。チョコプリンを作って渡すっていう過程を上手く描けたので。
ここまでコンセプトを上手く形に出来るのは今後無いだろうなぁって。これ以上のものを作れたらなぁとは思いますけど。
ただ妄想系のMADって、後で見返すとちょっとキツく感じる時があって。
大麦さん:
そうなんですか(笑)
シャンリーさん:
しらふになると「あーすげぇ事してんなぁ」みたいになる時があるので、そういう意味では『ゆるゆり くれっしぇんど』とかさらっとしてて見やすいですね。良くも悪くも変な引っ掛かりが無くて。
スピード感があって、見てて良い感じの満足感が得られるのでこれも好きですね。
(2021年1月投稿)
最後に3つの質問
–MADを作る上でのポリシーがあれば教えて下さい。
シャンリーさん:
最近だと、何か具体的なオブジェクトを1個決めてます。
例えばフリーレンだったら「魔法」。シャドーハウスだったら「鏡」。そういう構成とか画作りでメインに据えるモチーフみたいな物を定めといてそれを軸に組んでます。あった方が構成組みやすいので。
特にゆるゆりでifストーリーを作る時は、あんまり抽象的な話ばっかりすると何も伝わらないので、具体的な物を決めてそれを「作る」「壊す」「色を無くす」とかそういう表現で、どういう話をしてるのかを描いた方が分かりやすいし作りやすいかなと思ってるので、最近は決めるようにしてますね。
–シャンリーさんが思うMADの魅力とは?
シャンリーさん:
好き勝手自由に作れる事かなぁって思います。
やっぱり仕事じゃないので、自分が思った事をパッと形にして、それを見る側も楽しむ。どんな感想を持っても自由だし。
あと、同じ原作を扱ったとしても人によって解釈の仕方とか結構変わってくるのでそこの違いを比べるのも面白いかなぁって思います。
直近だとフリーレンのMADとかはかなり顕著ですかね。
フリーレンを見てる人じゃないと分からないと思うんですけど、過去組んでたパーティーと現在組んでるパーティーがあって、多くのMADは過去の方に焦点を当ててるんです。違うのもあるとは思うんですけど。
だから僕は今を見てほしいなって思って、今のパーティーの方の出会いとかに比重を置いた作り方をしてるので、それと比べて、「この人はこの登場人物に焦点を当ててるんだな」「この人はここのシーン使うんだな」とか、そういう違いや何を思ったかを比べるのは面白いと思います。
–シャンリーさんにとってMADとは?
シャンリーさん:
趣味ですね。あんまり気負わずに、作りたいなって思った時に好きなように作る。
あんまり義務みたいにしたくないので。それぐらいの距離間が一番良いんだろうなぁとは思ってます。
これからも作ってくと思うので、宜しくお願いします。
以上です。最後まで読んで下さりありがとうございました。
そして、シャンリーさん、ゲストの皆さん、お忙しい中参加いただきありがとうございました。
これからも、シャンリーさんのアーティスティックなMAD(妄想系含む!)が見れるのを楽しみにしています。
各回メインゲスト
第1回:HIROKIさん
第2回:mizugorou_753さん
第3回:さんちぇさん
第4回:津名さん
第5回:まさか!さん
第6回:babanさん
第7回:Pluviaさん
第8回:大麦さん
第9回:こばやしさん
第10回:シャンリーさん
最終回:inaさん
番外編:いはさん
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