[iha’s column]炎上を考える けものフレンズ2 VS ケムリクサ

Column

「けものフレンズ2」が炎上しています。良く燃えています。

この様な否定的な内容で、作品を取り上げるのは私も不本意なのですが、折角です。
今回は、この事件をサンプルに、ネット上で炎上しない為にはどうしたら良いのかを考えてみたいと思います。

因みに、私は炎上するのを、そんなに悪い事だとは思っていません」

私は「新世紀エヴァンゲリオン」の最終回を見て、録画されたビデオテープを叩き付けた事があります。
(当時はあまりの内容にショックを受け、テープを破壊した人が結構いました)

2期と言えば、「機動戦士ガンダムSEED」の2期と言って良い「SEED Destiny」も、本当に酷いモノだったと今でも思います。
「ガンダムZZ」も酷かった。「オルフェンズ」の最後も酷かった。

ですが、私は今でも「エヴァ」や「ガンダム」が大好きです。
いや、「愛」していると言っても良い。

この境地に至るまで、私は何度も何度も、
「これらの作品は何故失敗したのか」
「監督や制作者達は、何故こんなモノを頑張って作ったのか」
「どうすれば良かったのか、
自分ならどうするのか」
考え続けて来ました。

これらのプロセスは、人間に取って、人生に取って、非常に重要なモノです。

「これらの作品は何故失敗したのか」
と考えるのは、「反省」と言うモノを言葉だけでなく、真に理解する一助になります。

「監督や制作者達は、何故こんなモノを頑張って作ったのか」と考えるのは、他人が自分とは違う環境に生き、違う理念を持ち、違う結論に至る事があると知る、良い試行となります。
これは突き詰めれば、相手が何を考え、こちらがどう動けば、どの様な行動に至るか、推察出来る様になれる筈です。

「どうすれば良かったのか、自分ならどうするのか」このプロセスはクリエイターに取って非常に重要なモノです。
この段階まで辿り着けた者だけが、クリエイターに至れると言っても良いくらいです。

これらは普通、一般生活で学ぶ事かと思うのですが、私はアニメで学びましたw
「エヴァ」や「数々の失敗ガンダム」がなければ、私はきっと動画も文章も、作っていませんでした。

皆様にも是非、ただ怒りを溜め込むのではなく、この炎上を深く深く考え、そして動画や文章、同人誌などの二次創作に、そして一時創作に繋げて頂けたらと思います。

因みに私の愚考した「けものフレンズ2」の炎上理由を、以下に記してみようと思います。
全て裏付けのない妄想ですので、関係者様、並びにファンの皆様も、あまり気にしないで頂けたら助かります。

――――― 以下駄文 ―――――

まず、角川を中心とする、けものフレンズプロジェクト(KFP)は、ケムリクサの公開される1月に「2」が公開出来れば盛り上がるだろうと思い、短期間で作ろうとして失敗しました。
制作会社のトマソンは、それを安請け合いして失敗。
総監督の吉崎氏は、自分の持っている最も成功したキャラクター、ケロロ軍曹(キュルル)、冬樹(サーバル)、夏美(カラカル)を使用し、「1」の世界観に合わず失敗したのだと思います。

プロデューサーの細谷氏は炎上の中心人物で、「2」のスタッフを身内で固める為に、前監督のたつき氏を外したとまで言われています。
この疑惑を払拭するのは、悪魔の証明に近く殆ど無理です。
しかし、私の考える真相は少し違います。

たつき氏の所属する「ヤオヨロズ」は、アニメとは関係のない「ジャストプロ」と言う芸能事務所の子会社であり、アニメ制作委員会が提示した低い報酬では納得出来ず、増額か、制作側も権利を持つ「一部パートナーシップ方式」を提案。
現在の権利者である委員会側と、物別れに終わった可能性があると思っています。

そして細谷氏は、「けものフレンズ」を子供向け番組にすると言う間違った方針も掲げ、子供番組しか作っていなかった「トマソン」に白羽の矢が立ってしまったのではないでしょうか。

総監督の吉崎氏と脚本のますもと氏は、子供向け番組にする事に反対するべきだったとは思います。
監督の木村氏は演出担当でストーリーには関与していない様ですが、これも怠慢かと。

プロデューサーの細谷氏が、最初の企画段階で失敗をしたのは、少なくとも確かです。
最初から歯車が狂っていたので、どんどん狂ってしまった。

御本人の為にも、携わったスタッフ、クリエイターを守る為にも、全てのファンの方々の為にも、細谷氏は業界を一時的にでも離れるのが私は一番良いのではないかと感じます。

炎上の最終的な対策は「撤退」なのです。
これ以上延焼しない為にも、燃え易い物は遠ざけねばなりません。

皆様は、どう思われますでしょうか?

――――― 以下も駄文 ―――――

前置きが長くなりましたが、ここからは最終手段である「撤退」まで行かない為の、動画制作における炎上に対する対策(リスクヘッジ)を考えてみたいと思います。

しかし、炎上も人生経験なので、炎上しても悲観せず、是非次に繋げて下さい。

「エヴァ」も「ガンダム」も炎上しましたが、今でも大勢に好かれる一大コンテンツです。
「けものフレンズ」もきっと立ち直れる。私はそう思っています。

■ 炎上の原因

1 質が悪い
商品の質が悪い、足りない、間違っている等。

動画に当てはめるなら、画質が悪かったり、アスペクト比率がおかしかったり、音が割れていたり、音がズレていたり、音量が小さかったり、海外字幕が入っていたり、切り抜きが荒かったりでしょうか?

趣味で作る分には良いと思いますが、イベント参加作品などになると注意した方が良いかも知れません。
音ズレやボリューム調整の為に、最初は非公開で投稿し、確認してから公開に切り替える等は有効かと思います。

2 不謹慎
被害者のいる事件を扱ったりする事。

戦争や災害を扱ったアニメも多いので、使用する際には注意したい所です。
個人的には、茶化したりしていなければ、そんなに問題ではないと思います。

歌手や声優などが後から事件を起こしたりと、対処しきれない場合もあります。
ギャグ系の動画などは、気にし過ぎると何も出来なくなるので、あまり気にしないでも良いとも感じます。

3 横柄
相手を下に見る。相手を無視する。遠慮がない。礼儀がなっていない等。

上記の逆をすれば、炎上し辛いとも言えます。つまり、

相手が年下だろうと少なくとも対等、もしくは自分を下として扱う。
可能な限りきちんと返事をする。
遠慮がちな態度を心がける。
謙譲語や尊敬語は必要ないかと思いますが、丁寧語を使うなど言葉遣いはきちんとする。

動画の解説欄やTwitterなどは字数制限がある為、言葉が足りなくなり失敗し易いです。
Twitterだから、ネットだから、適当な言葉で、自然体で、フレンドリーで良いだろうと言うのも分かります。
しかし、それを続けていると丁寧語さえ身に付きませんし、何よりこれは炎上対策の記事ですのでw

4 相手に正義を与える

糾弾する側が正義だと感じてしまう事象。シャーデンフロイデの研究などに詳しい。

小さなルールを破ったり、嘘を吐いたり、ズルをしている相手に対して、人はより正義を暴走させやすくなり、過激に糾弾する事があります。
犯罪には社会的制裁と言うモノも必要かも知れませんので、これは難しい問題です。

自分がこの状態に陥いり攻撃されている時には、自分もこれから正義の側に立つと明言、実行し、細かく報告するのは良い対処法だと思います。

■ 炎上の段階

1 着火フェーズ
初期消化出来るのが一番良いです。最良。

炎上したら、原因を特定し、速やかに理由を述べましょう。
そして「皆様をお騒がせして申し訳ありませんでした」と、炎上理由ではなく、一般市民へ向けて一言謝罪しましょう。

2 延焼フェーズ
深掘りされ、他の問題も発見される。

一つの過ちは許されがちですが、問題が複数になった時点で良い所を上回ってしまいます。
飲食業などが一つの失敗で炎上してしまうのは、良い商品を販売しているのに、体質がブラックで、良い所と悪い所が常に50:50だからです。

もしその企業が、良い商品を販売している上に、ホワイトだったり、ボランティアに積極的だったりと言うプラスのイメージがが多ければ、一つの失敗では炎上しない可能性が高まります。

これを動画制作者に当てはめると、良い作品を作っている上に、コミュニケーション能力が高かったり、生放送をやったり、動画講座を作ったり、みんなの役に立っていたりすると炎上し辛くなると考えられます。

3 爆裂フェーズ
多くの人が目にする。最悪、まとめサイトや、マスコミに取り上げられる。

基本的に、このフェーズは有名人にしか起こりません。
ですから、あまり有名でない、普通の動画制作者は安心して下さい。

嘗ては動画制作者の数が少なく、誰でも炎上する可能性がありました。
これは年月が経ち、過去の動画制作者も含めれば、とんでもない数になったのが大きいかと思います。

私達は、過去の動画制作者も含め、多くの仲間に守られているのです。

また、動画制作者が炎上する、ひとつのマイナス要因として「著作権問題」がありました。
「良い動画を作っている」のと、この「著作権問題」で、50:50の状態だったのです。

今でも、この問題は別に解決されてはいないのですが、アメリカで大きな炎上があり、それが収束したのは大きいかと思います。

細かくは述べませんが、アメリカのトップアイドルが、動画サイトに著作権無視で、様々な「歌ってみた動画」を投稿していて大炎上した件です。
これは許されるのかと非常に問題になりましたが、これが取り締まられる事は結局なく、収束したのは大きかったかと思います。

■ してはいけないこと

1 個人情報の公開
自分や他人の情報を、ネット上に書き込む行為。

法的にグレーとしか言えないAMV/MAD制作者の場合、特にこれは嫌われます。
自分の情報なら良いと思われるかも知れませんが、これも問題視される事が多いです。

この著作権法は、最悪5年以下の懲役、500万円以下の罰金刑です。
あなたの人生だけでなく、多くの人に心配、迷惑を掛けると言う事を理解した方が良いかと思います。

一応ですが、逮捕される確率は、ほぼゼロ%です。
今迄、AMV/MADを作っていただけで対象になった人はいません(AMV/MADの他に、音楽をUPしまくっていて対象になった人はいますので、是非注意はして下さい)

2 情報漏洩
内部の情報を、故意に、もしくは失敗して漏らす事。

動画制作に当て嵌めて考えると、合作の秘匿する筈だったメンバーを明かしてしまったり、内容を明かしてしまったりする事。
メールやDiscordなどの裏で話した内容を、一般に公開してしまう事。
リアルで話した内容を、ネットで公開してしまう事などでしょうか?

まず、人の口に戸は立てられませんので、公開されて困る様な事は話さない。
相手が信用に足る人物だったとしても、きちんと秘匿情報の確認をする等が大切かと思います。

3 事実誤認
間違った情報、誤解を与える様な情報を発信してしまう事。

大切な情報(日時やイベントのルール等)を発信する時には、きちんと確認をする。
誤解を与える様な動画に、文章になっていないか、投稿する前に一度確認をする。

自分の知らない事、詳しくない事に関しては、きちんと裏取りをしてから発信する。
Twitterでは安易にリツイートしない。等でしょうか?

4 センシティブな内容に注意する
政治・経済・科学・医療などの他、ポリティカル・コレクトネス関連全般。

これらは、立場によって全く逆の意見になってしまったりもする難しい問題です。
触れる時には十分な注意と、準備と、覚悟をしてから臨んで下さい。

これらには触れない方が良いのですが、「触れるな」と書いてしまうと、「言論統制だ!」等と言われてしまう可能性すらあります。是非、御注意を。

■ 対応

1 まず落ち着いて様子を見て、原因と流れを考える

自分を批判する意見を見掛けても、反論や、言い訳をする前に、一度落ち着いて考えてみて下さい。
「原因は何か? どうして相手はそう思ったのか?」そして、
「このような反論をしたら、相手はどう感じるか? どう行動するか?」です。

そして、自分への批判が誤解であり、自分が悪くない時には、まず「お騒がせして申し訳ありません」「誤解させる様な文章で申し訳ありません」から始めて下さい。

2 削除の仕方

炎上した原因を削除してしまうのは、あまり得策ではありません。
特に、反論や言い訳をする前に削除してしまうのは、隠蔽としか見えません。

大部分の人が、あなたの反論に納得した後に、「誤解を与える文章なので削除させて頂きます」と断りを入れ、少なくとも1日経ってから削除した方が良いかと思います。

3 謝罪の仕方

意図せずとも、嘘・大袈裟・紛らわしい文章を書いてしまった場合には、謝罪が必要になります。

その時には「原因の特定」と、「今後の方針」が必要です。
特に「今後の方針」については未来の事なので、どうしても流動的になってしまいますが、可能な限り遵守出来る内容にして下さい。
これが出来ないと、新たな炎上のタネになってしまいます。

また、事実であったとしても、「忙しかった」「知らなかった」「自分は頑張った」「相手も悪い」等の、責任を回避、減少させる様な言動を取るのは、あまり良い態度ではありません。

徹頭徹尾、謝罪を行い、相手の同情を買う位の気持ちで臨んだ方が良いかと思います。
言い訳は、相手が同情の言葉を掛けて来てから行うのが最良です。

「合作の締切に遅れた原因は、倒れて入院していたから」等の納得出来る理由がある場合には、きちんと最初に理由を述べ、その後、「皆様には、御心配と御迷惑をお掛けしました」と謝り、「明日の23時迄には完成させます」等の方針を打ち出す順番が良いかと思います。

また、責任を取るのは上司の務めです。

例えば、合作の主催者・まとめ役の場合。
期日に間に合わなかった原因が他のメンバーにあったとしても、主催者はメンバー全員に対して(遅れた原因となったメンバーに対しても)、「スケジュールに無理があったかも知れない。申し訳ない」と謝っておくべきでしょう。

■ 最後に

「蛙鳴蝉噪」「驢鳴犬吠」「魯魚亥豕」
「竜攘虎搏」「獅子搏兎」「亡羊補牢」
「猿猴取月」「傷弓之鳥」「塞翁が馬」
「藪を突いて蛇を出す」「捕らぬ狸の皮算用」「猫が肥えれば鰹節が痩せる」

これらは動物を使った格言ですが、炎上対策にもなりそうな物ですので是非、心に留め置いて頂ければと思います。
(勿論、ここに書いたのは簡単な物だけで、もっとたくさんあります)

けものフレンズは、もっと幅広く、たくさんの楽しみ方が出来るコンテンツの筈です。
大きく失速しましたが。

ケムリクサも正直地味でしたね(炎上ポイントw
私は記紀神話の様な世界観も、暗い物語も大好きですが、そんなに話題になる作品ではなかったかと思います。

しかしこのケムリクサは、けものフレンズ2が盛大に炎上した結果、逆に良い面がクローズアップされ、大勢の人に見て頂ける結果となりました。

ケムリクサの様な、地味ですが、制作者個人が透けて見える様な芸術作品が、多くの人に評価されて、私は僭越ながらとても嬉しく思っています。

それだけをとっても、けものフレンズ2には価値があったのかも知れません。

全ての事象には裏表があります。
バイトテロなどの炎上も、利用者から見たら、秘匿されていた企業の悪癖改善の契機と捉える事が出来るのです。

今回の記事も、マイナスを力に変え、大きなプラスにして欲しいと思い執筆させて頂きました。
皆様のプラスに、「けものフレンズ」と「ケムリクサ」のプラスに、僅かでもなっていましたら幸いです。

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Posted by いは