シャンリーさんへのインタビュー(前半)

2022-07-24Column



AMV-JAPANでは2021年、大体月1回程度でDiscordを使用したVoiceChat会を行っていました。
毎回ゲストを迎えてゲストに関連するお話しを聞く内容です。
10回目(2021/09/18)は、異文化交流という事で、静止画界隈からシャンリーさんをお迎えしました。

シャンリーさんのプロフィール
2017~2019年前半まで、アニメ「結城友奈は勇者である」を使用した切り貼りMAD・音MADをメインに投稿。
2019年6月には静止画MADを初投稿し、以降、『アクタージュ ~銀河鉄道の夜に~』、『カラーズと街とひとびと』、『【シャドーハウス】煤けた生き人形』、ゆるゆりのifストーリーMAD等々、多くの視聴者の印象に強く残る静止画MADを制作。

参加者は、

メインゲスト:
シャンリーさん(@shangli_1053)
niconico
YouTube
ブログ

ゲスト:
muzugorouさん(@mizugorou_15)
さんちぇさん(@3che3)
まさか!さん(@masaka_bikkuri)
babanさん(@baban)
大麦さん(@oomugi839)
こばやしさん(@1kobayashi2mas1)

主催者(AMV-JAPAN):
ころころさん
じょん

でした。
以下、VoiceChat会の一部をインタビュー形式にしてまとめたものです。


動画編集・MAD制作を始めたきっかけ

じょん:
シャンリーさんが動画編集そしてMAD制作を始めたきっかけを教えて下さい。

シャンリーさん:
友達が海外に住む事になったので、思い出を形に残したいなって思って、集まった時に撮った写真をまとめて動画にして、海外に行く直前に見せたんです。そしたら凄い喜んでくれて。それが動画編集を始めたきっかけです。

アニメは元々見てなかったんですけど、アニメ好きの友達に勧められた「四月は君の嘘」を見て凄い良い作品だなって思って、そこから色々見始めましたね。
その後MADっていうのもあるんだって知って、ちょっと作ってみようかなってなりました。

結城友奈は勇者である

じょん:
MAD初投稿から2年間(2017~2019年)は「結城友奈は勇者である」のアニメMADをよく作られていましたね。

シャンリーさん:
このアニメを見た時は凄い感情が揺さぶられてました。もうボロボロ泣いたりとかしてたんで。
そういう意味でこのアニメはインパクトが強かったです。だからバンバン作ってたのかなぁ。

じょん:
相当作ってましたもんね。

シャンリーさん:
確かにあれは異常でしたね(笑)

静止画MADを作り始めたきっかけ

ころころさん:
2019年6月に初めて静止画MADを投稿しましたが、静止画MADを作り始めたきっかけは何ですか?


(2019年6月投稿。シャンリーさん初の静止画MAD)

シャンリーさん:
元々は僕、1枚切り抜きするのですら吐き気を催すほど嫌で、だからずっと切り貼りでいいやと思ってたんです。
けど、仲良くさせてもらってるMAD作者の方に「色々出来ると表現の幅が増えて楽しいよ」って言われて、「面倒臭いけどちょっとやってみるか」って事で少しずつ切り貼りに味付け始めて、そっから静止画に入りました。
そしたら、「なんか思ったより楽しいな」って思ったんですよね。

ころころさん:
アクタージュのMADあたりからAfter Effectsを使うようになったと記憶しています。

シャンリーさん:
そうですね。それまではAviutlを使ってたんですけど、After Effectsに移行して、一か月くらい経ってからアクタージュのMADを作り始めました。


(2019年11月投稿。第8回ANIMAAAD祭参加作)

まさか!さん:
アクタージュあたりから一気に殻を破って、それまで以上に急激に成長してる印象ありますね。

シャンリーさん:
ありがとうございます。
After Effectsは出来る事多いので、段々自分で表現出来る幅が増えてきました。
去年まではAEに使われてる感じがずっとあったんですけど、今年から大分AEが手に馴染み始めたなぁって感じですね。

ゆるゆりのifストーリーMAD

babanさん:
「ゆるゆり」で本編に存在しない話のMADを作り出した辺りから作家性が変わった印象があって、この時の心の変遷が気になります。


(2020年11月投稿。池田千歳の歪んでいく心情の変化を描いたifストーリーMAD)

シャンリーさん:
きっかけは、大麦さんの『おやすみなさい』です。


(作者:大麦さん)

このMADのメイキング記事に、

「普段はお茶ばかり飲んでる千夜だけど、ときどきはソーダ水を飲む」
そんな描写があれば、千夜の意外な一面を垣間見ることができて真の意味でキャラを
深く理解する事ができ、もっと好きになれるんじゃないかなあと思ったのです。

って書かれていて、うわぁ凄いなぁって思って。こんな事考えながら作ってるんだって感動しちゃって、それがきっかけですね。

自分は、こういう多角的な視点というのか、原作にあるものをなぞるんじゃなくて敢えて裏側とか別の視点からキャラクターや物語を覗きに行くっていう発想がそもそも無かったので、目から鱗というか世界が急に開けた感じがして。

大麦さん:
良い影響を及ぼせたって事で嬉しいですね。

シャドーハウスMAD『煤けた生き人形』

babanさん:
皆が「シャンリーさんが化けた」っていう風に口にしていたシャドーハウスのMADの、画作りが群を抜いていたという印象があります。
シャドーハウスっていう作品自体、主人公と生き人形っていう2つの軸があって、この対比が作品に活きてるんですけど、そこを昇華してあの画に至るまでのイメージの作り方について話が聞きたいです。


(2021年5月投稿)

シャンリーさん:
あれは明確にリファレンスがあるんですよね。
シャドーハウスで作ろうって思った時に真っ先に出てきたのが、中絲悠さんっていう方の映像で。特に「Heaven and Hell」をイメージしてました。ノイズの入れ方とか。
他にもリファレンスはあるんですけど、メインはこの方ですね。


(作者:中絲悠さん)

あとはシャドーハウスと曲に合うような感じで思ったままに出力したって感じですね。

ころころさん:
制作期間はどのくらいだったんですか?

シャンリーさん:
どのくらいでしたかねぇ・・・。多分1ヵ月はかかってないと思います。

大麦さん:
やばっ!病みそう。

シャンリーさん:
(笑)
確かに中身見ると相当暗いですからね。
このMADの感想ツイートで「とりあえずこの人、頭の中身おかしい事は分かった。」みたいなツイートを見かけた事があって。改めて見返すとよく作ったなぁと自分でも思いますね(笑)

葬送のフリーレンMAD『最後のさよならは、君に』

じょん:
AniPAFE2021では、「葬送のフリーレン」のMADで参加されました。


(2021年8月投稿。AniPAFE2021 総合4位・第5回MCL 1位)

こばやしさん:
もう最高でしたね。ラスサビの花畑の所(2:31~)とか最高です。

シャンリーさん:
あそこは魂込めました。

こばやしさん:
原作読んでない方は是非読んでほしいです。その後もう一度このMAD見たら最高の一言ですよ。

さんちぇさん:
原作って割と起伏が無くて淡々としてるんですけど、それをよくこんなに盛り上がり入れて構成出来るなぁって思いました。

シャンリーさん:
これは結構無理やりですね。
主人公の感情の起伏が無さすぎて、多分第一話が一番起伏が大きいんですよね。勇者のヒンメルが死んで感情がグチャグチャになった所から話がスタートするので、そこを無理やり間奏とかCメロに持ってきて落としてから、最後に花畑で上げるっていう。だから時系列はちょっと崩してるんですよね。

じょん:
このMADは元々AniPAFE用として作られたんですか?

シャンリーさん:
これは最初からAniPAFEに出そうと思って作ってました。
僕のMADの尺っていつも1分半から2分いかないくらいなんですけど、AniPAFE用って事で長めに3分半で頑張って作りましたね。

じょん:
特に苦労した所などありますか?

シャンリーさん:
技術的には、最初のAメロBメロの所(0:31~1:00)ですね。皆さんから「絵本みたい」っていう感想を頂いた所で、ここの絵を作るまでが大変でした。背景は最初ステンドグラスをイメージして作ってたんですけど、透き通る感じよりはテクスチャ貼った感じの方が雰囲気出るかなぁという事で今の形に収まりました。
あとは、ここはもう色塗り必須だなと思いました。

じょん:
ご自身で塗られたんですか?

シャンリーさん:
塗りました。

大麦さん:
偉いなぁ。

シャンリーさん:
でも色塗りはまだマシだなぁと思ってます。
キャラクターの髪動かすとか戦闘シーン作るとかあるじゃないですか。

大麦さん:
Nanatsukiさんみたいな。

シャンリーさん:
正にそうです。あっちの方が面倒臭くてしょうがなくて。
だから何としてでもキャラをいかに動かさずに魅せれるかっていうのを最近ずっと考えてるので、その結果がこんな感じですね。
フリーレン自体が凄く良い漫画なので、AniPAFEで負けないような良いものにしたいという気持ちで作りました。

注目しているMAD作者

じょん:
最近注目している・気になっているMAD作者さんっていらっしゃいますか?

シャンリーさん:
kyuiさんとかALINCOさんですかね。

特にALINCOさんの『ICHIDAIJI』っていうワンダーエッグ・プライオリティのMADが衝撃的で、映像のリファレンスはどっからインプットしたんだろうって凄い気になるんですよね。
テキストでも遊ぶイメージがあって、置き方が凄い面白いなぁって。


(作者:ALINCOさん)

kyuiさんは、名前を認識したのは去年の「夏のMADイベント」のMADで、短いけど雰囲気めちゃくちゃ良いなぁっていう。
今年の「夏のMADイベント」も、短い中に世界観をギュッと凝縮した、MADを見る事でその漫画の世界を疑似体験できるような感じが良いなぁと思って。
ああいう感じの作りたいなぁって凄い思います。


(作者:kyuiさん)

特に印象に残っているイベント

じょん:
今までたくさんのイベントに参加されてきたシャンリーさんですが、特に印象に残っているイベントを1つ挙げるとしたらどのイベントになりますか?

シャンリーさん:
「依羅グルーヴ事変」ですね。
ゆっぴさんにお誘いいただけたってだけで本当にめちゃくちゃ嬉しかったです。まさかと思って。本当お誘いいただけると思ってなくてビッッックリしました。
(※2020年7月に開催された、ゆっぴさん主催のオファー制MADイベント。)

ゆっぴさんが作られた参加者紹介動画に自分が載ってるのを見て、ゆっぴさんと同じ所でイベント作り上げられるんだなぁってかなり特別感がありましたね。

あとちょうどその時期、After Effects使って半年ぐらいだったんですけどスランプみたいになってて。
「全然分からないな映像。このままフェードアウトするしかないのかな。」とか思ってた時だったんですよね。
試しに戦闘アニメーションとかちょっとやってみようとして挫折して途中で終わって、「あぁもう俺駄目だなぁ。何も作れない人だ。」と思って結構へこんでたんですけど、お誘いいただいたんで気合入れて作ろうと思って。
それで折角だから毛色の違う作品作ろうかなぁと思って、気分転換も兼ねて今までやったことのないポップ系のMADを、ゆっぴさんの動画とかも参考にして作ったんですけど、良いもの作れたのでかなり満足してますね。


(2020年7月投稿。依羅グルーヴ事変参加作)


後半に続きます。

Column

Posted by John