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[iha’s column]2016年アニメランキング。宮崎駿VS庵野秀明VS新海誠。音編集の勧め。

time 2017/01/01

今回のテーマは新春特番で3つ……な訳ではありません。
3つの様に見えますが、全て繋げて話す積りです。

新春に何を書こうか迷っていたのですが、毎年その一年のアニメランキングをやっていたので今年もそこから始めようかと思いました。宜しく御願い致します。

その前に、私の判断基準について少し話したいと思います。
このランキングは個人的趣味で選んでいますが、一応総合力は重視している積りです。

それでも私は、作画よりも構成や脚本を重視する傾向にあります。
作画や演出、ファッション、リアリティを重視する人など、見方は様々ですし、それぞれのランキングがあって然るべきです。

また、私は主人公に感情移入出来ない作品に付いては、そもそも切ってしまう事が多いです。
主人公がどんなに良い人物でも、私と感じ方が違うだけで難しい。

ヤクザ物、マフィア物なども、私にとっては残念ながらハードルが高いです。
リアリティの無い萌えキャラも難しい。主人公の気持ちが理解出来ないのです。
勿論、ギャグにはリアリティは求めませんので大丈夫なのですが……

感動と言うのは、理解の度合によって深まるものです。
「深く感動する」と言う言葉は、良くその事を表していると思います。

勿論、全てのアニメを見ている訳でもありません。興味の無い題材については、そもそも1話も見ていないと思います。
これらの事は当然だと思われるかも知れませんが、この様に人の好みはバラバラであるにも拘らず、今年は「君の名は。」と言うモンスターコンテンツが出て来たと言う事に繋がります。

「君の名は。」は何故売れたのか。勝利したのか。今後も売れる作品が作れるものなのか考えてみたいと思います。
でも取り敢えず、テレビアニメランキングからです。

1位 ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない
1年通して楽しませて頂いたのと、話題性も加味して。そして個人的趣味での1位です。独特な原作の雰囲気を、あれだけ再現したのも素晴らしい。

2位 響け!ユーフォニアム2
作画演出に関しては過去最高。アニメ界の歴史に残ると言って良い作品です。これを超える作画とはいったい何なのか、今後は考えなければならないレベルです。

3位 GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり
時代が求めた作品。アニメ視聴者が望んでいた異世界物と言う面もありますが、今問題となっている日本と世界の平和に関して考えさせられる作品です。

4位 昭和元禄落語心中
点数をつける時100点満点で付けると思いますが、採点者の予想を超えてきた場合のみ100点を超える事があります。この作品の声優は150点。私の想像を完全に超える演技でした。

5位 ここから下にはあまり差が付けられなかったので順位は全て5位としています。

ユーリ!!! on ICE
繊細な競技をアニメでここまで表現できるとは思いませんでした。そこの作画だけなら120点。しかし作画の荒い所もあったのが残念。

ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校
スポーツのリアリティある迫力と言う点では、これも過去最高と言って良いかと。

モブサイコ100
ストーリーと戦闘も素晴らしかったのですが、アニメの戦闘シーンは素晴らしい作品が多いので。

僕だけがいない街
総合力の高い作品。このレベルの作品が増える事を願います。

この素晴らしい世界に祝福を!
低予算ですが、演技も含めたテンポの良さがギャグをより面白くしていたかと。

灼熱の卓球娘
低予算枠其の2。OPやED、汗の演出など、低予算ながら頑張っていました。他の低予算アニメにも是非見習って欲しい作品。

バーナード嬢曰く。
超低予算枠。短い時間で低作画のアニメは殆ど上位に入れた事もないのですが、完全に私のストライク。円盤買いたいレベルです。

これ以外にも楽しませて頂いた作品は多いのですが、後はマイナス面ばかり書く事になりそうなので、ここまで。

今年のアニメですが、こう並べてみると実はかなりレベルが高いです。
技術水準がどれも私の考える最高水準に近づいてきていると言えます。

この技術水準を更に上回っているのが、劇場版です。
テレビアニメを超えている劇場作品のクオリティは、ついにトップクラスの芸術として開花してきているのかも知れません。

これが「君の名は。」が異常に売れている理由の一つであると私は考えています。
アニメ業界が、試行錯誤、切磋琢磨して来た事が、劇場アニメをトップランナーとして、ついに極みに到ろうとしているのです。

以下は2016年公開の劇場アニメランキングです。

1位 君の名は。
正直、私的な好みだけで言うなら前作「言の葉の庭」の方が上です。
しかし、この作品は1位です。

2位 聲の形

好みと言うだけなら「君の名は。」よりも上です。
映像も負けていません。テーマや脚本は勝っているかも知れません。
しかし地味です。売れるには派手さも必要であり、映画界においての派手さとは、実は、ほぼイコールでSFです。

映画館の環境、特にを生かさなければ、映画である必要が薄くなってしまうのです。
「君の名は。」は、この点で優っています。

ちなみに、もし私なら「聲の形」のヒロイン主体のシーンでは音を全部消します。
その事によって、逆にただの自然の音を際立たせます。スタッフは、それくらいやっても良かった筈。

制作の京都アニメーションは、「劇場版 響け!ユーフォニアム」「映画 ハイ☆スピード!(Free!)」も2016年に放映しています(ハイ☆スピードは公開自体は2015年の年末です)
どちらも、ランキングに入れて良いほど優れた、面白い作品ですが、TVシリーズを基本としているのでここには入れませんでした。

しかし、この2作品はある意味で「聲の形」を上回っています。それはです。
「ユーフォニアム」の演奏、「ハイ☆スピード」の水の音などは、是非劇場で見て、聞いて欲しい物でした。

3位 機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY

戦争の悲劇と狂気を描いた、描き過ぎた問題作と言って良いでしょう。
SFと音楽と言う点でも「君の名は。」を上回っています。
しかし、上回り過ぎているのです。SFも音楽もマニアック過ぎるのです。

「君の名は。」はこの点で、非常に良いバランスを取りました。
音楽は一般人に受けの良い「RADWIMPS」
SFも王道の「入れ替わり」「時間移動」そして単純で派手な「ハザード物」の組み合わせです。
一般人がギリギリ理解出来るラインに着地しているのです。

このバランス感覚は狙ってやった物なのか、偶然なのか分かりません。
恐らく次の作品で、新海監督が狙ってやったのか偶然なのか分かるかと思います。

ちなみにスタジオジブリの宮崎駿監督は狙ってやっていたと私は思います。
「風の谷のナウシカ」は複雑過ぎたので、宮崎監督は「天空の城ラピュタ」以降、見事に一般人のレベルに着地して見せています。

このラインと言うのは実は、難し過ぎても簡単過ぎてもダメです。
何人もの人がこのラインを目指して、今迄もチャレンジを続けて来ました。

これが「ポストジブリ」と呼ばれている物だと私は思います。

ちなみに「ガンダムシリーズ」は、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」も劇場での公開を続けています。
こちらも良い作品であり初代の焼き直しと言う点では、一般層に着地出来る可能性もあったのですが、よりマニアックな方向に舵が切られてしまいました。

「ガンダムシリーズ」は、既にマニアックな層中心のコンテンツになっているので、当然と言えば当然なのですが、TVシリーズとして展開出来なかったのかは疑問が残る所です。

4位 この世界の片隅に

戦争と日常、愛を描いた作品。1位から4位までは全て歴史に残ると言って良いレベル。
監督の片渕須直は、ジブリの「魔女の宅急便」の監督候補だった人物です。まさに「ポストジブリ」

ちなみにこの「ポストジブリ」ですが、「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」等の細田守監督も「ハウルの動く城」の監督候補でした。
「新世紀 エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督は、「風立ちぬ」で主人公を演じましたが、「風の谷のナウシカ2」の監督候補にも挙がっています。

庵野監督は今年、実写映画ですが「シン・ゴジラ」で、大きな成果を残しました。
「シン・ゴジラ」は主に、時代性と言う面で突出していました。「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」に近い作品です。

彼らの様な直接のポストジブリ候補だけではありません。
多くのアニメスタジオ、アニメ監督たちも、「ポストジブリ」をある程度は目論んでいた筈です。

2016年には「信長の忍び」も制作したギャグばかり作っている印象のある大地丙太郎監督でさえ、過去には倉田英之、摩砂雪、平松禎史、大塚雅彦など強力なスタッフを揃えて「今、そこにいる僕」と言うラピュタの様な作品にチャレンジしています。

「ポストジブリ」と呼ばれる彼らは、ジブリを目指していたと言うか、ジブリを超えたかったのだと思います。
自分はもっと面白い物を作れると思っていないとクリエイターは作れません。

「聲の形」も明確にではありませんが、「ポストジブリ」を狙っていたでしょう。
「聲の形」と良く比較される「心が叫びたがってるんだ。」も、きっと同じです。
それどころか「心が叫びたがってるんだ。」の方が、音楽やSFを用いた派手さがあり、「君の名は。」に一歩近かったとさえ言えるかと思います。

「君の名は。」と違ったのは、絵柄の萌え度が高かった事(これは、聲の形もですが)
それと、恋愛要素が複雑だった事です。

恋愛要素が複雑だと何がいけなかったのか?

実はここに大きく違いが出ます。時代性です。
人々は複雑な恋愛まで実は至っていなかったのです。

「君の名は。」の恋愛は、だから「出会い」がテーマなのです。
今の少子化、晩婚が問題となっている時代、人々は「出会い」をこそ欲していました。

そこにこそ自分を投影し、感動したのです。
「君の名は。」は、まさにそのタイトル通り、全く知らないもの同士が全く偶然に、奇跡的に出会う、類型的な「Boy Meets Girl」のです。

「この世界の片隅に」も、実は奇跡的な出会いがテーマであり、「GATE」や「シン・ゴジラ」と同じ、日本の安全保障とは何かという時代性をも持っています。
時代性と言う面では、一歩も二歩も抜きんでいた作品と言って良いでしょう。
非常に暗い作品である為、ポストジブリと言っても「ポスト火垂るの墓」「ポスト高畑勲」になってしまうのですが。

しかし片渕監督は、アクションアニメである「BLACK LAGOON」の監督でもあります。今後地味ではない派手な映画作りを行って来るかも知れないので、是非注目して見たいと思っています。

「この世界の片隅に」については、もう二つ語らなければならない事があります。
一つはクラウドファンディング(一般投資)で制作されていると言う事です。

現在アニメの資金は委員会方式で企業が持ち、回収はDVDなどの円盤売り上げでの回収が大きいのですが、円盤は非常に高く、普通の人が、たくさん買える値段ではなくなっています。

また制作委員会に入っているTV局は、円盤の売り上げだけでなく、グッズの売り上げからも多い時には1割以上も持って行くと言う謎仕様。
これは国から放映権を委託されているTV局が、権利を勝手に商売にしているとして問題にされてもおかしくない事案です。

クラウドファンディングなら、このTV局の支配を崩す事が出来るかも知れません。
誰でも通常1000円くらいからの投資が行え、投資額に見合ったポスターなどのグッズがもらえたりするのです。

この方式は海外で大成功し1月からTVアニメ化もされる「リトルウィッチアカデミア」が先駆けとなって、ゲームソフトである「Dies irae」のアニメ化、ボーカロイドの「東北ずん子」のアニメ企画などでも用いられています。
今後のアニメ業界を変えていくであろうシステムの一つです。

もう一つは、監督に対して成果報酬が与えられている点です。
基本的に日本のアニメスタッフには、仕事量に対しての報酬が支払われているだけで、その作品がたくさん売れても追加報酬はありません(ボーナスなどはあるかも知れませんが契約内容には含まれません)

成果報酬のスタイルは、欧米などの映画業界では一般的です。
つまりこれは、アニメが世界中に売れ、海外の資本が入ってくれば、導入されていく筈のシステムなのです。

この二つの大きなシステム転換は、アニメ業界に大きな飛躍をもたらす可能性があると私は思っています。

5位 劇場版 艦これ 

一応5位に入れましたが、「ユーフォニアム」や「ハイ☆スピード」よりも下です。
TV版に比べストーリーも普通でしたし(褒めてます)、戦闘はなかなかの迫力で、2015年末公開の「ガールズ&パンツァー 劇場版」に近い感覚を味わえます。
しかし「ガールズ&パンツァー」の方が、戦闘時間が長く迫力もあります。

「ガールズ&パンツァー」は、120分の殆どが戦闘と言う迫力重視の映画であり、これに勝てる迫力の映画はなかなかないかと思います。
ハイレベルな今年のアニメ映画に含めてもトップクラス間違いなし。歴史に残る作品です。

「艦これ」は「ガールズ&パンツァー」になれた筈なのに、なぜなっていないのでしょうか?
「艦これ」は角川映画創立40周年記念作品なのに、何故に90分映画なのでしょうか?

ちなみに、「艦これ」より下になってしまい、ランクインしなかった「傷物語」には、更に大きく反省して頂きたい。
映画が60分しかないと言うのも問題ですが、それは3部構成にした結果であり、そもそも3本に分ける意味がありません。

「艦これ」や「物語」には、大きな支持層がおり、手を抜いてもお金を出すだろうと思ったのでしたら、かなり問題です。
戦犯は制作委員会やプロデューサー、監督です。視聴者を舐めてます。

アニメ会社は貧乏なので、劇場版で少しお金を稼ぐと言うのには完全に賛同します。
しかし、手を抜いて回収して良いとは思っていません。それも、既に大きな利益を得ている筈の「艦これ」と「物語」で。

どちらも、もっと大きく、業界に貢献出来る筈のコンテンツなだけに残念でした。

ちなみにこれらの作品は、完全にポストジブリなど狙っていませんし、狙う必要もありません。きちんと萌えアニメとして成立するべきです。

傷物語は何故かその萌え路線を、少し捨てていたのもダメだったと思います。
ガンダムからモビルスーツ戦闘を抜いてしまった様なものです。

「聲の形」は逆に、萌え路線は少し捨てても良かった。京都アニメーションは、もう少し萌えを抑えたキャラクターデザインも行うべきだと私は思っています。

しかし、「艦これ」の迫力ある戦闘音や、「傷物語」の声優の熱演などは、AMV/MADにとってたいへんありがたいものです。
ファンにとっては長年待ち侘びた映画化です。

AMV/MADにおいて、「君の名は。」のOPの様にセリフを入れたり、「ジョジョ」の最終話のOPの様に効果音を入れたりするのを、私は良い事だと思っています。
音の効果と言うのは、作品にとって、とても重要なのです(選曲含む)

「ガールズ&パンツァー」の砲撃音、「この世界の片隅に」の爆撃音、「ガンダム サンダーボルト」の宇宙放電、ジャズ、ポップス、「聲の形」のヒロインの声にならない叫び、どれもが一級品であり、見るだけでも感動します。動画の参考になります。

これを迫力ある音を聞く為だけでも、是非映画館に足を運んで頂きたい。
映像の編集だけでなく、音の編集も皆様にも是非やって頂きたい。

「君の名は。」で新海監督は、素晴らしい作品を見せてくれました。
そして新海監督は、次の作品でもきっと色々とやってきます(それが成功するかは分かりません)

庵野監督は「ヱヴァンゲリヲン」の新作を作っています。
庵野監督ならきっと次もやらかします(褒めてません)

宮崎監督も復帰を決意しました。
(決意しただけで作れるかは微妙だと、残念ながら私は思っています)

しかし、この3人は。3人以外の人たちも。本気で命を削って、作品を作っているのは間違いありません。

私も、次に進む為に、是非彼らの絵作り、音作りを見て、良く聞いて、気合いを入れて創作活動を行いたい。
きっとそこには、新たな感動が、芸術があると、私は思うのです。

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